Reproducibility Study
10,000回の結果は
seedを変えても安定するか
同じ入力でも、疑似乱数のseedが違えば生成される運用経路は変わります。10種類のseedを使い、試行回数を10回から10,000回まで増やしたとき、10%点・中央値・90%点がどのように安定するかを実測しました。
Overview
試行回数を増やすと、seedごとの線は次第に近づいた
同じ積立条件でも、試行回数が少ない段階ではseedによって集計値が大きく異なります。今回の実測では、10回から10,000回へ試行を増やすにつれて、10%点・中央値・90%点のいずれもseed間の幅が小さくなりました。
Method
比較条件と読み方
積立条件は固定し、10個のseedそれぞれで10・100・1,000・10,000回を計算しました。合計40組の結果から、3つの代表値を比較します。
- 資産と積立
- 100万円・月3万円
- 期間
- 35年間・月末積立
- 運用仮定
- 年利5%・変動15%
- モデル
- 正規分布・対数収益率
- seed:
- 疑似乱数の再現用の値です。同じ条件とseedなら同じ運用経路群を再現できます。
- 試行回数:
- 35年間の運用経路を何本生成するかという数です。各経路の最終資産額から代表値を求めます。
- 3つの代表値:
- 10%点は結果の約10%が下回る位置、50%点(中央値)は中央、90%点は約90%が下回る位置です。同じseedの代表値を線で結び、seed間の幅を比べます。
比較の手順・同じseedで経路を追加する仕組みを見る
STEP 1
10個のseedを用意
同じ積立条件に対して、異なる10組の運用経路群を生成します。
STEP 2
試行回数を4段階に増やす
同じseedについて、10本、100本、1,000本、10,000本の順に運用経路を増やします。
STEP 3
3つの代表値を追う
各段階で10%点・中央値・90%点を求め、同じseedの値を線で結びます。
STEP 4
seed間の幅を比べる
各段階で「10seedの最大値-最小値」を計算し、試行回数とともに幅がどう変わるかを確認します。
同じseedの経路群
10本 ⊂ 100本 ⊂ 1,000本 ⊂ 10,000本
同じseedでは、10回版の経路は100回版の先頭10本と共通で、100回版は1,000回版の先頭100本と共通です。10,000回版まで同じ関係が続くため、既存の経路群に新しい経路を追加したとき、代表値がどう安定していくかを比較できます。
Seed Convergence
同じ色の線を追うと、代表値が近づく過程が見える
色はseedを表し、破線は同じseedの値を結んでいます。横軸は10倍ずつ増える4段階の試行回数、縦軸は最終資産額です。
Range Comparison
seed間の幅は4段階で小さくなった
各試行回数で、10seedの最大値から最小値を引いた金額です。グラフの線の広がりを数値で確認できます。掲載額は1万円単位へ四捨五入しています。
| 試行回数 | 10%点の幅 | 50%点(中央値)の幅 | 90%点の幅 |
|---|---|---|---|
| 10回 | 1,067万円 | 1,688万円 | 5,676万円 |
| 100回 | 613万円 | 642万円 | 2,283万円 |
| 1,000回 | 139万円 | 218万円 | 741万円 |
| 10,000回 | 41万円 | 127万円 | 193万円 |
Conclusion
試行回数を増やすほど、seedによる代表値の差は小さくなった
10回から10,000回へ試行を増やすと、10seedの最大値と最小値の差は、10%点で約1,067万円から約41万円、中央値で約1,688万円から約127万円、90%点で約5,676万円から約193万円へ縮まりました。今回のデータでは、3つの代表値すべてで10回、100回、1,000回、10,000回の順に幅が小さくなっています。
ただし、同じseedの線が常に一定方向へ動くわけではありません。経路を追加するたびに代表値は上下しながら変化し、その一方で10本の線全体は次第に狭い範囲へ集まっています。ここで確認できる安定性とは、個々の運用軌道が似ることではなく、多数の軌道から求める集計値がseedの影響を受けにくくなることです。
試行回数を10,000回へ増やすと、これらの代表値はseedの影響を受けにくくなりました。ただし完全に同じ金額にはならず、中央値はseedによって約3,014万円から約3,141万円まで変わりました。したがって「3,055万円」のような一つの表示額を精密な将来予測と捉えるのではなく、「およそ3,000万円台前半」という規模感として読むのが適切です。
下の3項目は10,000回版のseed間の幅です。「平均比」は、各代表値の最大値と最小値の差を、その代表値の10seed平均で割った割合です。
10%点の幅
約41万円
平均比 2.80%
中央値の幅
約127万円
平均比 4.12%
90%点の幅
約193万円
平均比 2.72%
Interpretation
結果から言えること、言えないこと
試行回数の効果を段階的に確認できた
10%点・中央値・90%点のすべてで、10seedの最大・最小差は10回、100回、1,000回、10,000回の順に小さくなりました。
結果の規模感は共通している
10,000回の中央値は、どのseedでも約3,014~3,141万円でした。seedが変わっても「3,000万円台前半」という全体像は共通しています。
細かな金額差は読みすぎない
一方で、1万回でも中央値に約127万円の幅があります。数万円単位の差を精密な予測として扱わず、条件比較と結果の大きな幅を見る用途が適切です。
Try It
同じ条件を自分で再現する
初期資産100万円、月3万円、35年、年利5%、ボラティリティ15%を入力し、グラフに示したseedを切り替えて比較できます。